クロロとの熾烈なデスマッチを経て、死の淵から奇跡的な復活を果たしたヒソカは、これまでとは一線を画す冷酷な行動に出ました。
その中で多くのファンが疑問に感じた出来事が、なぜその場にいたマチを殺さなかったのかという点です。
旅団全員を狩ると宣言しながらも、彼女だけを生かして解放した背景には、作中の戦術的な意図やキャラクター同士の複雑な感情、さらに作者である冨樫義博先生の創作上の判断が深く関わっています。

単行本の巻数や具体的な話数を紐解きながら、二人の因縁や今後の物語に与える影響について詳しく掘り下げます。
記事のポイント
- 天空闘技場におけるクロロ戦直後の蘇生劇とマチの対応
- ヒソカがマチを殺さずに生かす道を選んだ明確な理由
- 冨樫義博先生が明かしたマチ生存に関する裏話とストーリー上の効果
- コルトピやシャルナーク惨殺から見る今後の旅団狩りの行方
ヒソカがマチを殺さない理由を探る天空闘技場直後の真相
- 天空闘技場でのクロロ戦直後に起きた出来事
- 殺意の対象から外れた背景と伝令役としての役割
- 冨樫先生の解説とストーリー上の判断
天空闘技場でのクロロ戦直後に起きた出来事

クロロが構築した100%の勝利戦術と決闘の結末
単行本34巻に収録された第351話から第357話にかけて、天空闘技場を舞台に幻影旅団団長のクロロとヒソカによる因縁のデスマッチが繰り広げられました。
長年待ち望まれたこの一戦において、クロロは勝率100%を宣言し、周到に準備された完璧な条件のもとで戦いに挑みました。
クロロは自身の念能力である盗賊の極意(スキルハンター)と新技の栞のテーマ(ダブルフェイス)を駆使し、携帯する他人の運命(ブラックボイス)、神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)、人間の証明(オーダースタンプ)、転校生(コンバートハンズ)、そして流星街の長老から得た番いの破壊者(サンアンドムーン)という複数の能力を絶妙に組み合わせました。
会場の観客を大量のコピー人形へと変貌させ、自爆特攻を繰り返形させる圧倒的な数の暴力により、ヒソカは逃げ場を失っていきます。
最終的に無数の爆弾人形に囲まれた大爆発に巻き込まれ、ヒソカは全身に甚大なダメージを受けた上で窒息死を遂げるという衝撃的な敗北を喫しました。
死後に強まる念による心臓マッサージと奇跡の蘇生
しかし、死の直前にヒソカは極めて冷静かつ冷酷な賭けに出ていました。
自分が死ぬ間際、自身の念能力である伸縮自在の愛(バンジーガム)に対して、死後に心臓と肺をマッサージして蘇生させよという命令を刻み込んでいたのです。念は死後に特定の目的や強い執着によって強化される特性を持ちます。
呼吸と脈拍が完全に停止した絶望的な状況下で発動したバンジーガムは、彼の胸中で肺と心臓を交互に圧迫し、再び脈打ちを開始させました。
遺体安置所でその様子を見守っていたマチ、シャルナーク、コルトピの3人は、死体が急激にオーラを放ち始めた光景に目を見張ります。
一度命を落とした人物が、自身の能力の応用によって現世へと舞い戻った瞬間でした。
マチによる念糸縫合の申し出と能力による肉体再生
遺体安置所に立ち残っていたマチは、損傷の激しいヒソカの顔面や欠損した肢体を見て、念糸縫合を用いて綺麗に繋ぎ合わせようと試みていました。
かつて天空闘技場でカストロと戦った際も、マチは切り落とされたヒソカの両腕を完璧に縫合してみせました。
今回も彼女は、誰に頼まれたわけでもなく、個人的な情やこれまでのビジネスライクな関係に対する最低限の義理立てとして、最期の姿を整えてあげようとしていたのです。
ところが、蘇生を果たしたヒソカはマチの治療を断りました。彼は進化したバンジーガムと薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)を組み合わることで、爆破によって失われた右足や鼻、頬の肉体をゴムの義肢と質感の再現によって完璧に補填してみせました。
原型を留めないほどの傷を自力で修復する姿に対し、マチは呆れつつも安堵の言葉を掛け、今度からは戦う相手と場所を選ぶことだと助言して立ち去ろうとしました。
殺意の対象から外れた背景と伝令役としての役割

旅団全体への宣戦布告と生きた伝令役の必要性
マチが背を向けた直後、ヒソカの醸し出す空気が変貌を遂げます。
彼は背後から無造作にマチへ手を伸ばし、バンジーガムで彼女の全身を緊縛して身体の自由を完全に奪いました。
動揺するマチに対し、ヒソカは今後どこで誰と遭ってもその場で殺すまで闘ると言い放ちます。
これは単にクロロ個人への復讐にとどまらず、幻影旅団という組織そのものを殲滅対象に定めた明確な宣戦布告でした。
ここで命を奪わなかった最大の理由は、クロロや残りの旅団員へ自身の意思を直接届けるための使者が必要だったからです。
ヒソカは闇討ちを開始するにあたり、恐怖と緊張感を蜘蛛のメンバー全員へ行き渡らせようと画策しました。
流星街の初期結成メンバーであり、仲間への思いが殊のほか強いマチを伝令役に選ぶことで、宣戦布告の重みが確実にクロロへ伝わると踏んだものと考えられます。
遺体を修復しようとしたマチへのわずかな義理と心情
宣戦布告の合理的な側面に加え、マチが死後のヒソカに対して見せた配慮が影響していた可能性も否定できません。
マチは自発的に遺体安置所へと赴き、傷ついた彼の体を少しでも綺麗な状態へ戻そうと針と糸を準備していました。
ヒソカは他者の生命に対して徹底して冷淡な殺人狂ですが、自分に対して親切な行いをした相手を無造作に踏みにじるわけではありません。
自分を看取り、怪我を治そうとしてくれたマチの行いに対し、わずかばかりの敬意や情を払った結果として、最初の犠牲者にするのではなく生かして拘束する道を選択したと推測されます。
冨樫先生の解説とストーリー上の判断

単行本34巻幕間で明かされた当初のプロット
作中の展開だけでなく、現実の創作現場における決断も重要な要素として存在します。
単行本34巻の幕間に掲載された作者である冨樫義博先生の解説ページにおいて、このシーンの裏話が打ち明けられました。
冨樫先生のコメントによれば、当初構想していたネームの段階では、ヒソカはその場でマチを殺害する予定だったと記載されています。
クロロに敗北したヒソカが狂気に目覚め、これまで以上の冷酷さをもって蜘蛛狩りを始めるという凄惨さを表現するため、身近な存在であるマチを最初の被害者にする考えが存在していました。
作者の直感と物語展開におけるナラティブの効果
しかし、実際にペン入れを行う段階に至り、冨樫先生自身の漫画家としての直感が働き、マチを生かすストーリーへと急遽変更されました。
マチをここで退場させるよりも、生存させて今後の展開に関与させた方が、物語として格段に面白いドラマが生まれると判断されたためです。
登場人物の感情や合理的な行動以上に、作者自身のストーリーテリングに対する感覚が優先された貴重な事例と言えます。
この変更によって、命を助けられたマチが深い屈辱と猛烈な激怒を抱き、ヒソカへの復讐を誓うという皮肉な関係性が生み出されました。
もしマチが殺されていた場合、直後に起きる事件の第一発見者が不在となり、旅団側に与えられる感情的な揺さぶりが半減していたと考えられます。
マチを殺さないヒソカの心理と幻影旅団の今後の行方
- コルトピとシャルナークの惨殺で見せた本性
- 旅団全滅の狙いと今後の戦術変化
- マチとの関係性と物語における重要な役割
- ヒソカとマチの今後の因縁と物語の重要ポイントまとめ
コルトピとシャルナークの惨殺で見せた本性

能力を奪われた無防備な二人への奇襲と惨殺の惨状
マチをバンジーガムで固定して立ち去ったヒソカは、そのまま公園へと向かい、無防備な状態にあった旅団員を襲撃しました。
公園のトイレで用を足していたコルトピを素早く奇襲し、首を切り落として殺害します。
さらに、トイレの外で携帯電話を手にしながら待機していたシャルナークの前へ、コルトピの生首を投げつけました。
突如として突きつけられた仲間の死に激しく動揺したシャルナークに対し、ヒソカは間髪を入れずに肉薄し、一瞬のうちに息の根を止めます。
シャルナークの遺体はブランコに縛り付けられ、足元にはコルトピの首が転がり、上空からはカラスが群がるというあまりにも凄惨な光景が作り出されました。
この衝撃的な惨劇は、単行本34巻第357話の最後で描かれています。
現場を発見したマチの苦悩と深い復讐心
コルトピとシャルナークは、天空闘技場でクロロが勝利を収めるために、自身の念能力を一時的に貸与していました。
そのため、当時は念能力を自由に使えない無防備な状態にありました。ヒソカは相手が万全でないことを完全に理解した上で、一切の猶予を与えずに命を奪いました。
これまで強者との対等な死闘を好んでいたヒソカが、効率と確実性を最優先する暗殺者のような手法へ切り替えた瞬間です。
束縛を振りほどいて現場に駆けつけたマチは、二人の無残な姿を目撃し、絶望と怒りに震えました。
自分がヒソカを助けようとしたことが巡り巡って仲間の死を招いたという悲劇は、マチの心へ決して消えない復讐の炎を点火させることとなりました。
| キャラクター名 | 天空闘技場直後の状態 | ヒソカに対する感情・行動 | 収録巻・話数 |
| ヒソカ | 死後に強まる念で蘇生 | 旅団全員をその場で殺害する方針へ変更 | 34巻第357話 |
| マチ | バンジーガムで拘束され生存 | ヒソカを必ず自らの手で殺すと決意 | 34巻第357話 |
| コルトピ | 能力を貸出中に奇襲され死亡 | 死亡のため行動不可 | 34巻第357話 |
| シャルナーク | 能力を貸出中に奇襲され死亡 | 死亡のため行動不可 | 34巻第357話 |
| クロロ | 勝利後、遠方で仲間の死を知る | 深い悲しみと共にヒソカの追跡を開始 | 35巻第366話 |
旅団全滅の狙いと今後の戦術変化

準備をさせない即時殺害へのシフトと美学の放棄
ヒソカが戦いの方針を劇的に転換させた背景には、クロロとの死闘で学んだ手痛い教訓が存在します。
クロロは1対1の条件でありながら、十分な準備期間を確保し、他の団員の能力を借り集めて100%勝てる盤面を完璧に構築した上で挑んできました。
ヒソカは相手が最も得意とする土俵を受け入れて戦う美学を持っていましたが、その結果として完全なる敗北と一時的な死を体験することになります。
前述の通り、この経験を経てヒソカは、相手に準備時間を与えたり、能力を貸し借りさせたりする余裕を与えないことの重要性を悟りました。
相手が戦闘準備を整える前に、出会ったその瞬間に殺害するという、徹底した狩人のスタンスへと変貌を遂げたのです。
ブラックホエール号での暗躍とクモ狩りの現状
現在、物語の舞台は暗黒大陸を目指す超大型渡航船ブラックホエール号の船内へと移っています。
単行本36巻第377話では、旅団員たちが船内の下層に集結し、シャルナークたちの仇を討つべくヒソカの捜索を開始する場面が描かれました。
クロロをはじめとする旅団の面々は、怒りと悲しみを胸に秘め、船内に潜伏するヒソカを追っています。
一方のヒソカは、マフィア組織や王子たちの権力闘争が渦巻く船内の暗部に身を隠しながら、蜘蛛の足を一本ずつ折るように、孤独になった団員を確実に狙う機会を慎重に伺っています。
マチとの関係性と物語における重要な役割

天空闘技場での出会いから変化した二人の関係性
作品の初期から描かれてきたヒソカとマチの関係性は、単なる敵味方という枠組みを超えた独特の距離感を保っていました。
天空闘技場で腕を縫合した際、ヒソカはマチの念能力を高く評価し、今夜食事でもどうだいと軽薄に誘う描写が存在しました。
マチもまた、ヒソカの気まぐれな性格に辟易しつつも、提示された報酬を受け取るビジネスパートナーとして冷ややかに接していました。
しかし、コルトピとシャルナークが凄惨な死を遂げたことにより、そのような奇妙な信頼関係は完全に崩れ去りました。
単行本39巻で明かされたマチの過去と念能力のルーツ
単行本38巻において、マチはクロロに対し、ヒソカは絶対に自分が殺すと激しく直談判しています。
さらに、単行本39巻の第397話や第398話で描かれた流星街の過去編では、マチの念能力のルーツが明かされました。
幼少期に仲間のサラサが殺害された悲劇に直面した際、マチは死体を綺麗に修復する技術に強い関心を抱き、そこから仲間を慈しむ思いによって念糸縫合の能力を開花させたのです。
仲間の遺体を綺麗にしたいという優しさから生まれた能力が、皮肉にもヒソカの蘇生を助け、結果として大切な仲間の死へ繋がってしまったという巡り合わせは極めて残忍です。
マチを生かしたヒソカの決断は、彼女に作中最も深い悲劇と強い動機を与える結果となりました。
ヒソカとマチの今後の因縁と物語の重要ポイントまとめ

- 天空闘技場での激闘の末にヒソカはクロロに敗北し窒息死した
- 死後に強まる念の発動によってヒソカは奇跡的に息を吹き返した
- 遺体を整えようとしたマチの前に蘇生したヒソカが姿を現した
- ヒソカはマチをバンジーガムで緊縛し一切の動きを封じた
- 今後出会うクモのメンバーを全員その場で殺すと容容赦なく宣言した
- 旅団全体への宣戦布告を伝える伝令役としてマチが生かされた
- 自分に親切心を示したマチに対するわずかな配慮も影響した
- 単行本34巻の幕間で冨樫先生が当初マチを殺す予定だったと明かした
- 作者の直感によりマチを生かした方が物語が面白くなると判断された
- 解放直後にヒソカは無防備なコルトピとシャルナークを惨殺した
- マチは二人の凄惨な遺体を発見し強烈な怒りと復讐心を抱いた
- ヒソカは相手に準備をさせない即時殺害へと戦術を完全に切り替えた
- ブラックホエール号の船内でヒソカと幻影旅団の死闘が進行している
- マチの縫合能力の原点が仲間の遺体を修復する優しさにあると判明した
- 生かされたマチがヒソカにどのような制裁を下すかが今後の見どころである







